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旋盤が来た!

5年くらい前に貰う約束をしておきながら、ずっと友人宅に置きっぱなしに成っていた旋盤がようやく我が家にやってくる事になりました。話が有ったときに直ぐにでも取りに行きたかったのですが、その時は広島のマンション住まいだったのでどうにも成りませんでした。

実は今回の旋盤の事は良く解っていません。どこかの学校?を取り壊すとき「廃棄処分するのが出たけどいる〜?」と電話が有り、「いる!いる!いる!!!」と即答しただけだったのです。

福岡の田舎住まいに落ち着き、ようやく旋盤にご対面と成りました。


ここにはの画像が有ります。

小雨の降る風の強い冬の日、長崎まで軽トラを走らせました。お金があっても絶対にSクラスは買う気にならない長崎らしい路の奥の家に旋盤は待っていました。

私と息子と友人と友人の息子の4人で積み込みました。話しに聞いていたとおりに相当な重さです。上は100kg弱くらいですがベースは200kgを越えているでしょう。友人の息子が花園に行く屈強なラガーマンで助かりました。


ここにはの画像が有ります。

運転と積み卸しで疲れては居ますが、待ちきれずにその日の夜簡単なチェックを行いました。教育用だったせいでしょう。各部のきさげ跡が綺麗に残っていて大した消耗は無いみたいです。今のところ精度面は解りません。

実は私は広島のマンション時代にも旋盤を使っていました。以前在職していた会社がメカトロ教育用と称して酒井カメラ?のML-360と言う旋盤を持っていました。だれも使わずに死蔵されていたので、借りてきてずっと自分で使っていました(笑)。

そのML-360と今回の旋盤を比べると迫力というか本物感がだいぶ違います。自称喧嘩の強いアンチャンとボクシングの国体強化指定選手くらいの差を感じます。


ここにはの画像が有ります。

ベースに向かって左の扉には、ねじ切り用の歯車が内蔵されていました。

24、24、30、36、40、42、48、50、60、80、96、100、120、の13枚です。学校の備品としては奇跡的に?スペックを満たす全数量が揃っていました。

管理の良い学校だなぁ。。。と思いましたが、人は入れ替わるのだから延々と良い管理が続くはずはありません。そう考えると工業高校や専門学校の実習用では無くて、ほとんど使われることが無かった中学の技術家庭科用では無いかという気がします。


ここにはの画像が有ります。

主軸の左側のカバー内部です。主軸の駆動は壁の向こうでVベルトの無段階変速です。静かなのはありがたいのですが、ベルトの交換のために主軸をぬかないといけない様な感じです。

上記の歯車を掛け替えて、2段減速で各種のピッチを作り出すわけです。ちなみに親ねじのピッチは4mmでした。


ここにはの画像が有ります。

本物感を醸し出す大元になっている鋳鉄製のベースです。小さいくせに本物っぽいシルエットに成っています。

据え付けはジャッキボルトなので基礎ボルトを用意する必要は有りません。ガレージの一角をはつって、ちょっと厚めにコンクリを打ち直せばOKでしょう。


ここにはの画像が有ります。

銘板です。内田洋行のブランドで出ていたようです。「KSL-3」と言う型番は安直に「KENT School Lathe 300mm」の事なんだろうな・・・等と考えて笑ってしまいました。

「掛替歯車表」には製造会社である「勝倉機械製作所」の名前が有りました。WEBで調べてみるとまだ会社は存在していました。電話してみると当時の事を知っているオバチャンが出てきましたが、この旋盤を知っている人は今は誰も居ないそうです。

1名だけ存命されて居るけど病気で仕事はしていないと。時代の流れを感じながら、オバチャンとこの旋盤を作っていた時代について少しだけ話をして電話を切りました。昭和30年代の製品です。

電話を切って気がつきました。この旋盤を作っていた時代を知っているオバチャン。当時は入社したてのオネエチャンだったに違い有りません。活発なオーナーの娘でしょうか?それとも集団就職で上京したほっぺの赤い女の子だったのでしょうか?すぐにこんなことを考えてしまいます。半分病気です(笑)。

ねじピッチにも時代が現れています。M4前後に相当するピッチは0.6mm、0.75mm、0.9mm、と並んでいます。完全に旧JISの規格です。ほほう・・・と感心するのは良いけれど、現行JISに対応させる歯車を手配しないといけません。


ここにはの画像が有ります。

モータは三相200Vで0.4kWの4Pでした。テスターで相間の抵抗とフレームへの短絡だけを確認して、既に手配していた中古のインバータで試運転してみました。

何事も無かったかのように静かにモータは回り出しました。インバータは散々悩んだのですが、100V入力で0.4kW出力の中古が1万円台で入手できたので安直な方法を選んでしまいました。

インバータの自作とか、それはそれで面白そうなネタは旋盤とは別に楽しもうと思います。


インバータ代と輸送のガソリン代+高速代を合わせると3万円くらいかかりました。新JIS対応の歯車は数千円で購入できると思いますが、インチ対応の127枚は特注で万の単位がしそうです。私としては相当な出費なのですが、このくらいしっかり感のある旋盤を買おうと思うとこんな値段では購入できません。

5年間も保管してくれた上に、「博多通りもん」のお土産だけで積み込みまで手伝ってくれた友人と息子に感謝しながら、夜な夜な鉄のかたまりを磨く日々が続きます(^^)。


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