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タイミングライトの製作

どうもXSのガバナの動きが怪しいので、タイミングライトを整備することにしました。

今まで使っていたのは基板のままで気を抜くと感電するし、DC-DCコンバータの能力が低くてアイドリング程度しか発光してくれないためです。


ここには古いタイミングライトの画像があります。

これが今まで使っていたタイミングライト(の残骸)です。タイミングライトと言うよりも、ジャンクで買ってきたストロボ基板からトリガ信号用の配線を引っ張り出しただけの代物でした。

高電圧部分を持つと感電するし、入力は5Vなので毎回電源装置を用意しないといけないし、高回転ではまばらにしか発光しないし・・・不具合有りすぎなのでこの機会に一新します。


ここにはストロボ基板の回路図が有ります。

適当にスケッチした回路図です。あまり気合いを入れて見ていないので間違っている可能性が高いです。

5Vを250Vくらいまで昇圧して22μFのコンデンサに充電します。この電圧はキセノン放電管の両端にもそのままかかっています。トリガ用のコンデンサは0.15μFで1MΩの抵抗経由で充電されます。

トリガ用コンデンサのグランド側にはトリガ用コイルが入っています。サイリスタがONになるとコンデンサの+端子がグランドに落とされるので、結果的にコンデンサとトリガコイルの1次側が並列に接続された回路が出来上がって電流がピュッと流れます。この瞬間にトリガコイルの2次側に高電圧が発生してこの高電圧がキセノン放電管を横から刺激して、キセノン放電管は両端に加わった250Vのエネルギーでピカッと発光するわけです。

トリガの辺りはバイクのCDI回路とほとんど一緒です。この回路を見て「なるほど・・・」と思う人はCDI点火装置を自作出来るはずです。

オリジナルの回路では、CRとダイアックを使って完結的にピカピカ光るようになっていました。この部分はタイミングライトでは不要なので外してしまって、サイリスタのゲートに線を付けてプラグコードと適当に結合させればOKです。


ここにはタイミングライトの回路図が有ります。

今回作り直した回路です。サイリスタの上流にダイアックが入っていますが考え通りに動きませんでした。さらに最終的に力業で解決してしまったのでこれの意味は無くなりました。。。

この部分の意味は以下の通りです。

電源能力や放電管の能力は有限なので、どんな回転数でも全て追随して全発光出来るわけでは有りません。単純にサイリスタのゲートに点火系のノイズを注入するだけでは、高回転になってくるとトリガ用コンデンサが充電されて居ないのにサイリスタがONになってしまいます。

この状態が繰り返されると充電途中のトリガコンデンサはサイリスタで頻繁に短絡されてしまい、いつまで経っても正規の電圧まで到達できません。

それを防止するためにこの部分にオリジナルの回路に入っていたダイアックをいれて、ダイアックのON「かつ」サイリスタのONで初めてトリガがかかるように考えました。

最初はツェナーダイオードでやっていたのですが、ツェナーは抵抗が一定なので一定電圧を維持するだけでトリガになりませんでした。トリガ用のダイアックは負性抵抗を持っているので、一度電流が流れ出すと電圧が低くなってもしばらく流れます。丁度オリジナルの回路にそれが使ってあったので、もぎ取って付けてみた次第です。

しかし、予想に反して高回転ではほとんど消灯状態が続いてしまいました。予定通りに高回転になると2回に1回などのタイミングで綺麗に発光する事は有りませんでした。。。


なんか今日はトラブルシューティングをやる気がなくなって来たので方針を変えました。

今回は小さなトランスのDC-DCじゃなくて乱暴にも100V直結の倍電圧整流です。パワーは比べものにならないくらい有ります。必要な回転数まで全発光させばイイジャン・・・

適当に時定数を計算してコンデンサと抵抗を選びます。実際には高耐圧のコンデンサを各種持たないので抵抗で調節します。秋月の怪しいシグナルジェネレータをサイリスタのゲートに繋いでR1とR2を追い込みました。

入力電圧の落ち込みはほとんど無い状態で、上記回路図の抵抗値で58Hzまで追随出来るようになりました。これは2STなら3480rpm。捨て火無しの4STなら6960rpm。捨て火有りの4STなら3480rpmに相当します。十分すぎる値です。

サイリスタのゲートに付いている10kと3Vのツェナーは、気休めの保護用です。280Vラインに入っている1Mの抵抗は実験中に何時までも電圧が下がらずに触れないので入れた強制放電用です。

コンセントの近くに入っているパワーサーミスタは、コンセントを差し込んだときの突入電流防止用です。でも今回の用途にはサイズがでかすぎたので十分に発熱していません。単純な抵抗と同じ意味合いになってしましました。


ここには完成したタイミングライトの画像があります。

最終形態に近い試験中の画像です。電源スイッチやヒューズ関係がまだ付いていません。ヒューズを後回しで実験してはいけません(笑)。

このキセノン放電管には蒸着したようなトリガ用の電極が付いていました。そこからリード線が出ていたのですが、触っているうちに取れてしまいました。仕方ないのでスズメッキ線をグルグル巻きにしています。

ガレージで使うので前面には透明アクリル板を張らないといけません。適当な板が見あたらなかったのでこの辺はあとの作業です。


ここにはタイミング測定中の画像があります。 XS1のアイドリング時です。止まっている訳じゃ無くてちゃんと回転して連続発光している時の画像です。元のキセノン放電管が大きめだったおかげでしょうか、結構明るいです。

もう、バラックの時代に比べたら劇的に使いやすく安全になりました。ケースに入って道具としての最低限の形にまとまったことと、高回転まで全発光出来るようになったことで進角の具合が大変スムーズに観察できます。

問題点は100Vを直接使っているので安全とは言い難い事です。一応プラスチックのケースに入っているので感電はしませんが人様にはお勧め出来ません。でもタイミングライトを使うようなシチュエーションってエンジンの回転物なんかの方が何倍も危ないので、五十歩百歩の様な気もします。

非力な電源でも正確に間欠発光させるカッコイイ回路は宿題です。


2007年03月28日追記

検出に不安定なところが有ったのでオシロで信号を見ながら考えてみると、今の方式は最適では無いような気がしてきて方式を変えてみました。

上記の回路図の通りに、今の検出はプラグコードに単純な1本の線を近づけて、点火の際にその線に発生する電圧をそのままサイリスタのゲートに注入しているようなイメージです。

アース側が無いのも変と言えば変なのですが、一番良くないように感じたのはこの方式だとプラグコードと検出線が基本的には容量的に結合して居るんじゃないかと言うところです。もし容量的な結合であればプラグコードの電圧変化を検出している事に成ってしまいます。

この部分の電圧はコイルで高圧が発生してからは、のこぎり波的に徐々にマイナス側に振れていき、放電の瞬間にゼロ近くに戻る変化をするはずです。オシロで見てもそれに近い波形が見えます。まあ、容量放電電流によるその後の乱れの方が大きいので何が何だか解らないに近いのも事実ですが(笑)。

と言うことで点火の瞬間を検出するためには、上記の容量放電電流を検出する必要が有るんじゃ無いかと考えたわけです。プラグコードの近くにコイルやらそれらしい試作品を近づけて試験して、最終的に到達したのが下の構造です。

ここには点火タイミングセンサの画像があります。

手持ちにあった適当なコイルのうち、一番巻き数の少なそうなこいつが良好でした。ジャンク品なのでスペックは解りません(笑)。20-30ターンくらいしか巻いてないように見えます。このコイルを磁路を兼ねた鉄製のクリップで鋏んだ構造です。

ここには新しい回路図があります。

回路図的にはこんな感じ成ります。

ここには入力信号が有ります。

コイルからの生の信号です。

ここにはダイオード通過後の信号が有ります。

ダイオードを通過した信号です。この先にはさらに3Vのツェナーが有るので最大電圧が3Vでクランプされます。ここまでしなくてもサイリスタをトリガすることは出来たのですが、調整用にタコメータを内蔵したいと考えているために、出来るだけ整形された点火信号が欲しかったわけです。

周波数が早すぎたのか、その辺にあった10D1的なダイオードでは旨く行きませんでした。そこで、その辺にあったショットキーに交換したら、何とか整流したような波形になりました。タコメータ等のデジタル回路に入力するには、もう少し真面目にやる必要が有るかと思います。


ここには使用中の画像があります。

使用中の画像です。センサ部分はホットメルト系の接着剤で固めて、後はテープをグルグル巻きにしてあります。

ダイオードのせいでクランプの向きがあります。矢印を書こうかと思いましたが、同時点火のコイルなどはプラマイの両方の極性が有るので、書かないことにしました。向きを合わせないと動作しないと言うことは、逆に言えばきちんと容量放電の電流を検出して居ると言うことに成ります。

ここまで作ってふと不安になりました。試験は抵抗無しプラグコードでしかやってません。抵抗入りは容量放電電流が相当少なくなります。検出できるのでしょうか?試してみたら旨く検出できたので安心しました(^^)。


2010年06月26日 追記

ここには改良型の回路図が有ります。

回路を見直しました。順調に動いているときは良いのですが、何らかの原因で発光が一旦止まってしまうと、R2経由の電流でSCRがオンに成りっぱなしに成ってしまう事が有ります。通常は発光時にアノード電位がマイナス側に一瞬触れるため、ターンオフしてくれるのですが。

そこで強制的に電流を切るために、SCRのアース側にトランジスタを追加しました。ここまでやるならプラグからの信号を小信号用トランジスタで受けて、トリガ用のコンデンサの放電も自分でオフに出来るトランジスタでやった方が良さそうに感じます。でも半田付を大幅にやり直すのが面倒だったので、今の回路のアース側に怪しいオフ回路を追加したのです。

予定通りに動くように成り、色々な条件を作っても流れっぱなしには成らなく成りました。充電が追いつかない高速時にも、適当に間引いて発光してくれるように成りました。洗練されてない回路ですが、自分用なので動けば勝ち(笑)です。


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