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XS650(XS1B) 燃料タンクの修理

エンジンも掛かったので燃料タンクの修理でもやろうかと・・・

タンクは今回のXSの中で一番酷いと思う部分です。揺すると中で錆がジャラジャラ言ってますし、横は大きなパイプが倒れてきたせいでべっこりと凹んでいます。


ここには燃料タンクと錆の山が有ります。

とりあえず茶色いガソリンをポリタンに移して錆を出してみると出るわ出るわ・・・とても両手ではすくいきれない量です。

この写真は右側面のへこみを修正している時です。タンクの中を先の曲がった鉄の棒でどつきまわったら、さらに写真の1/3位の量が出てきました。随分軽量化されて嬉しいかも。ハハハ。

その後、怪しいところの錆を外側から落としていったら、4カ所に穴が空いてしまいプラネタリウムみたいになってしまいました(笑)。もう気力が残っていないのでちょっと休憩です。


ここには穴を塞いだ部分の画像が有ります。

泣いていても仕方がないのでとりあえず穴を埋めます。色々考えて板金用の半田と真鍮板で埋めることにしました。

穴の廻りを出来るだけ綺麗にして、板金用のフラックスを使って真鍮板のパッチを半田付けしました。割と綺麗に付いたので、今の穴からは漏れないでしょう。新しい穴が出現すると困りますが(笑)。

この部分はXS1のウィークポイントでも有ると思います。カタログでは工具無しでタンクの脱着が可能とPRしていましたが、そのためにシート前部がタンクの後端を常時強めに押さえ続けており、塗装の劣化や水分の滞留などが起こりやすくなっているように思います。

この部分には塗装前にFRPを1プライするとか、何らかの対策が必要でしょう。


ここにはパテ埋め中の画像が有ります。

最大の凹部が5mm以下くらいまで叩き出せたので、あとはポリパテでごまかし板金です。ホームセンターでホルツのポリパテを買ってきましたが、どうも伸びがよくありません。以前使っていたロックペイントの缶に入ったヤツはもっとスーッと伸びたのに・・・

まあ、何回か付ければ良いだけなので我慢してごまかし作業を続けます。


ここには燃料コック穴の処理画像があります。

内部の錆取りにかかります。錆取り剤を入れるために燃料コック穴を塞ぐ必要があります。廃材の3mmアルミ板と3mmコルク板で塞いでみました。


ここには燃料注入口の処理画像があります。

同じく燃料注入口の処理です。こちらもホームセンターで丁度良さそうなコルクの成形材が有ったので買ってみました。日頃の行いがよいのでぴったりです(^^)。

今回使用予定の錆取り剤「RS-R1000」はアルミを溶かすと書いてありました。XS1のタンク口には一部アルミ鋳物が使ってあります。この部分はグリースを塗って保護するようにしました。


ここには初回処理後の画像があります

RS-R1000を常温で使って1時間くらいの状態です。薬液だけでは固まりっぽい錆が取れなかったので、ボルトやナットを数個入れて振り続けました。

RS-R1000は宣伝通りにかなりの効果でした。写真を撮る気にもならなかった内部がここまで綺麗になっています。ただし臭いはキツいです。ちょうど製鉄所の酸洗タンクの横と同じ臭いがします。色も黄色っぽいそっくりな色です。塩酸系なのでしょうか?

しかし長期間漬けて置いても延々と鉄を溶かしたりはしません。塩酸系に酸洗抑制剤が過剰に入っているとか??まあ、キツいけど強力な錆取り剤で有ることは実感しました。

特に初期の段階では発泡が激しくて内圧が上がります。定期的に注入口のコルク栓を抜いて内圧を逃がしました。内圧のおかげで?細かいピンホールから液が出てきて穴の早期発見に役立ちました(笑)。その部分にはとりあえずガムテープです。


ここには残った異物の画像があります。

様子を見ながらRS-R1000の処理を続けましたが、或る程度以上はどうしても取れない状態になりました。そこで処理を止めて水洗します。水洗は説明通りに溜めすすぎを5回しました。

黒い粒々が残った異物です。これは錆とガソリン中のガム成分の混合物みたいな物で、錆取り剤では溶かすことが出来ませんでした。これがタンク内に多数浮遊しており、底にはべったりと張り付いている部分も有ります。タンカーが座礁した海岸のような様相です。

この粒々を調べてみるとラッカーシンナーに良く溶ける事が解りました。そこで次の処理としてラッカーシンナーで洗浄しました。150ccを3回くらいで或る程度綺麗に成ったので止めました。


ここにはピンホールの画像が有ります。

この段階でピンホールを処理します。タンクシーラーでもピンホールは埋まると書いてありますが、安全の為に半田で処理しておきます。

まずピンホールの廻りの塗料や錆を綺麗にします。この段階でホールの数が数倍に増えて鬱になります(笑)。


ここにはポンチで処理したがぞうが有ります。

半田の厚みを稼ぐために、ポンチを使ってピンホールの廻りを凹ませます。


ここには半田で処理した画像があります。

板金半田で廻りを埋めていきます。下地を処理しておけば安物の100W半田鏝でも綺麗に埋めることが出来ました。あとはポリパテにお任せです。


ここには大きな穴の処理例が有ります。

半田だけで埋まらない大きな穴の例です。大きめに凹まして真鍮板を置いて全体を半田で包みました。

割と良い感じに処理できたので、最初に修理した真鍮パッチの部分も全部この方式にやり替えました。これで後々のパテによる表面処理がやりやすく成りました。


ここには錆取り完了後の画像が有ります。

シンナーでガム質を洗浄して半田で穴も塞ぎました。あとはPORのメタルレディーという錆取り剤を使ってみます。RS-R1000は強力ですが表面処理はしてくれません。メタルレディーは錆取り後に燐酸皮膜を形成してくれるようで、同社のPOR-15やタンクシーラーの下地にぴったりと書いてありました。なんとなく期待してしまって(^^)、2段階目はメタルレディーです。

こちらはRS-R1000に比べたら軽い感じがします。錆がガンガン取れていく感じでは有りません。表面が何か処理されたように変色していくのはちょっと嬉しかったりします。

ボルトやナットを入れて相当振ってみましたが、それでも例のガム質が固まって居る部分が数カ所残ってしまいました。仕方ないので曲がった棒を数本用意して、掻き落としてはシェイクするのを繰り返しました。変な筋トレよりも腕が疲れます。もう肩から先はパンパンです。

その甲斐あってか、タンク口から見える部分は100%錆が無くなりました。もしかしたら見えない隅の部分に少しだけ残っているかもしれませんが、今の段階で普通の中古車レベルよりは綺麗に成っているのは確かです。


ここにはタンクシーラーの画像が有ります。

メタルレディーの後は水洗を3回繰り返し、軽く水を切った後にメタノールを200ccほど注入して水分を吸収させてから排出しました。その後は内部を掃除機の吹き出し口を利用して乾燥しました。

最後の段階としてタンクシーラーを注入します。今回はバイク用のセットを買わずにばら売りの50Lタンク用を買いました。そのために最初は1/3位を注入してぐるぐるとタンクを回します。

頃合いを見てコルク栓を外してみると、6-7割くらいしかコーティングされていません。見ながら傾けて見ると確かに余分なシーラーが流動しては居るのですが、新しい面に流れていこうとしません。

このままではラチがあかないので追加で投入します。全量として50L用の1/2位を使ってしまいました。この後はスムーズに行き渡るようになって全面のコーティングが終わりました。

燃料コックの口を開けて余分なシーラーを排出します。30分くらい排出するとこんなに出てきました。結局当初投入量である50L 用の1/3位の量で十分だったと言うことになります。しかし凹凸の変なオートバイタンクの場合、最小量を上手に使うことはかなりの慣れが要るように感じました。


ここにはコーティング後のタンク画像があります。

タンクシーラーでコーティング後の画像です。安っぽい銀色ラッカーを塗って、その上にクリヤーを塗ったようなイメージです。

シーラーの硬化には96時間くらい必要と書いてありましたが、8時間くらいでも表面が触れるくらいまでには硬化していました。今後は適当に硬化を待ってタンク外側の塗装に着手です。

燃料コックのねじ山が変になるのが怖かったので、30分くらい余分なシーラーを排出した後はタンクを裏返しにしてM6のボルトでねじ穴を掃除しました。その後の硬化も反対向きのままで、ねじ溝に余分なシーラーが詰まらないようにしました。

ねじ溝をシーラーが埋めてしまうと後でタップでさらえることに成ってしまい鉄の面が出てきます。それよりは最薄のコーティング状態で硬化してくれた方が良かろうという判断です。まあ、ねじ込んだ時点でコーティングが剥がれる可能性も高いのですが・・・


ここには下塗り中の画像があります。

タンクシーラーが硬化したのでそろそろ表に取りかかります。XS1系のタンクには特徴的なプレスラインがあって、これがすっきりと決まらないといくら素人修理と言えど悲しくなってしまいます。

単純にパテを盛っただけでは凹凸が解りにくいので、サフェーサーを吹いて斜めから光を当てて面の確認をして行きます。この時期は雨が多かったので、進まない作業に夜な夜な苦労しました。


ここには上塗り中の画像があります。

許容範囲と言うよりも、もうパテ作業が嫌になってきたのでサフェーサーを塗ってしまいました。上塗りの色を考慮して白のサフェーサーです。グレーよりも隠蔽力が相当弱いです。予定の1.5倍くらい使ってしまいました。

後は天気の具合を見ながら色を塗り重ねて行くだけです。見ての通り黄色です。USヤマハのインターカラーです(^^)。

USインターカラー色なんて売ってないので、実際に使った色はホンダの「カーニバルイエロー」です。近所のホームセンターとカーショップを回って唯一売っていた黄色系です。フィットの黄色でした。

XS1と言えば緑のオッサンばかりなのでちょっと反抗して見たかった訳です。若い頃はこんな塗装恥ずかしくて嫌でしたが、今は何とも有りません。還暦まで生きて居てバイクに乗っていたら、赤い色に塗り替えるのも悪くありません。


ここには塗り分けが完了したタンクの画像があります。

いやぁ。。。カッコイイ。自画自賛。マスキングを剥いでからニコニコしっぱなしです。画像は縮小の時にエッジが強調されすぎていますが、実物は画像ほどギスギスした感じはないです。

白はトヨタのセリカの白。黒はトヨタのクラウンの黒です。トヨタが好きな訳じゃないのですが、どうでも良い色なので将来の補修用を考えて無難なところから選んでみました。

前工程の乾燥からマスキングまでを急ぎすぎたきらいがあって、テープの跡や新聞紙の跡が少し残っています。まあ、1000番台の紙ヤスリで取れる程度なので、完全に乾燥してから塗り分けの段差と一緒に小さな汚れも取りましょう。

それ以外は素人の塗装としては満足できる仕上がりになりました。単一色はアラが目立ちやすいのですが、派手派手なインターカラーならその辺が上手にごまかせています(^^)。

それと今回使ったホルツのスプレーが使いやすい感じがしました。GX250はソフト99のスプレーを使いましたが、ホルツの方が艶があります。そのぶん乾燥が遅いのですが、私の技術にはホルツの方が合っているようです。

1-2日乾燥させた後、クリヤーを吹いてから全てが完了となります。クリヤーはラッカー系にするかウレタン系にするかまだ決めていません。ウレタン系の方が丈夫では有りますが、後の補修などを考えるとどうかな・・・と思う部分も有ります。


クリヤの部分をどうしたか書いていませんでした。結局いつもの様に値段に負けてラッカー系に成りました。下地に合わせてホルツのクリヤーです。

可もなく不可もなく・・・といった感じに仕上がりました。その後車検を受けて1月ほど乗った後にコンパウンドで磨いてみました。下地が素人なので平坦のツルツルには成りませんでした。


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