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安物ママチャリのBB修理

高校に進学した息子のために買ってやった通学用ママチャリ。きちんと整備しているか触ってみると大変なことになっていました。クランクがガタガタで軸の先端が2-3mmは動いています。漕いでみると劇重です。流石、私の息子。あえて苦しい状況を作って体を鍛えて・・・ちゅう訳ではありません。

ちょっとのガタが出た段階で放置していたので、ガタが加速度的に大きくなってこういう状態になってしまったのでしょう。しかしそれにしても早すぎます。買ってから10ヶ月しか経っていません。中国製の安物だからでしょうか。


ここにはBBの全体画像があります。

早速分解してみるとこういう状況でした。故障までが短期間だったので、ねじ類を壊さずに分解することが出来たのは不幸中の幸いです。

左ワンのベアリングはリテーナーがグチャグチャでボールもガタガタです。右ワンは少しだけましですが正常とは言えない状態です。シャフトはそれほど傷んでいません。左右のワンは外側に亀裂が入っているように見えます。


ここにはフレーム側の画像があります。

フレーム側です。ワンの雄ネジが痛んでいる割りにはフレームの雌ねじは痛んでいません。左側の入り口が少しだけ潰れかけているくらいです。

水抜きの意味なのか治具への固定の為なのか解りませんが中央に穴があります。雨の日は前輪の跳ね上げた水がここからどんどん入ってくるはずです。グリスが直ぐに流れてしまいます。この穴はアルミテープと接着剤で埋める事にしました。

この規格のタップは持たないので、古いワンにバルブコンパウンドを付けて何回かねじ込みを繰り返して摺り合わせます。確認の為に手持ちのロード用BBを入れたら許容出来るくらいに修正出来ました。

ねじの規格としてはロードなどと同じでした。BC1.37x24山で右は逆ねじ、左は正ねじ。フレームの幅は70mmです。


ここには割れた左ワンの画像があります。

左ワンです。カメラのレンズが歪んでいるわけでは無くて、実物もこうなっています。数カ所ねじの谷が割れている部分があり、インチあたり24山のピッチゲージが全く合いません。

綺麗にメッキされているので立派に見えますが機械的には滅茶苦茶です。SSでも使っているのかと思いましたが、ボールレースの部分はそれほど摩耗していません。この部分の硬度はある程度有るみたいです。と言うことは、いい加減な焼き入れをした為に肉厚が急変した部分にクラックが発生していると考えるのが正しそうです。

こんな部品は再利用出来ません。


ここには割れた変形したボールの画像があります。

ボールです。見たことのない様な痛み方です。

こちらこそ、SS400とかS25Cとか、その辺の材料で作っているのでは無いでしょうか。信じられない形状をしています。

このボールはGX250のステムベアリングから外したボールと同じ径だったので、最悪はそちらと交換する事も考えていました。しかし左右のワンもあまりに酷いのでAssyで交換することにします。


ここには交換後の画像があります。

フレーム側に損傷がなかったので一気に完成写真です(^^)。

新しいBBはメッキ部品が無く、全て黒染め処理みたいな外観です。錆びやすいかもしれませんが、自転車屋さんが自分の交換用に使っている部品なので最低限の品質はクリヤしているでしょう。

部品はここのママチャリ屋で買いました。後々世話になりそうな近所の店が有ればそっちが良かったのですが、近所にそんな店はありません・・・1組で1,500円でした。


今回は中国製の安物について色々考えさせられました。

息子は月曜から土曜まで毎日25km程度は乗っています。10ヶ月で総走行距離は5,500km程度のはずです。私が使っているママチャリもかつては通勤に使っていました。毎日の通勤に16kmx220日x11年=38,720km使ってその後も日頃の足に使っています。BBに関してははノーメンテです。こちらは広島の自転車屋で買ったブリヂストンの3万くらいのヤツ。

やっぱり日本製の高級車を買うべきだったと後悔しても仕方有りません。なぜなら彼の通学路上には1件も自転車屋が無いのです。今や近所で自転車を買うには、車でホームセンターに行ってこういった自転車を買うしか無い状況が出来上がってしまいました。

鶏が先か卵が先かの議論になりますが、ある程度の品質が確保された自転車を買ったり修理を依頼するためには、車で数十キロ走らないと不可能な状況にあるわけです。昔は数軒有った自転車屋も全部潰れています・・・

このような状況から長男の自転車はホームセンターの中国製ママチャリを買いました。外装6段変速、ハブダイナモにオートライト、前かごと後ろの荷載せ付きで1.5万しません。信じられない値段です。

私は修理作業が嫌いじゃ無いので自分で修理しました。でもそうじゃない人は買い換える選択肢を選んでしまうような気がします。部品代と工賃、それに修理してくれる自転車屋を探す手間を考えると、どう考えても安物の新品を買った方が簡単で楽です。

なんか方向が違っているような気もしますが、自分自身が中国製のママチャリを買っている立場上大きな事は言えません(^^)。私に出来ることは今後もきちんとメンテと修理をして、安物でも最大限長持ちさせることです。


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