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GX250 ヘッドライトバルブの交換

貰ってから一度も交換したことが無いGX250のヘッドライトが切れました。夜間走行中じゃ無くて良かったです。昼間に常時点灯が必要なロービームなので早急に何とかしないといけません。

こういう部品を常備しているバイク屋が近所に無いので、とりあえずインターネットで状況を調べます。純正と同じバルブは有ることはありましたが全体数から行くと極少数派です。田舎では売ってないような気がします。しかも1,400円もするくせに「旧車用」なんて書いてあって泣けてきます。

夜走ることはほとんど無いと思いますが、今のままではメチャ暗いのは経験済みなのでこれを機会にもう少し明るくて入手性の良いバルブに交換することにしました。


ここにはGX250純正バルブの見取り図があります。

現状のバルブをスケッチしておきます。バルブ部分はSB34と言う規格で、口金部分はP36Tと言う規格でした。12Vで50/40Wです。普通の白熱球なのでメチャ暗いです。

フィラメントの形状的には、ロービームは左右に広がりを持たせた配光になるように、ハイビームは左右の広がりを押さえる考えが読み取れるような気がします。


ここにはH4バルブの見取り図があります。

最有力候補のH4をスケッチしました。家に数個転がっていましたが、全てハイかローのどちらかが切れていました(笑)。

H4ならどこのカーショップでもスタンドでもホームセンターでも入手可能です。ノーマル品なら1,000円しません。しかしフィラメントの位置関係が相当違っているのが気になります。


ここにはH4バルブの焦点検討図画が有ります。

昔、初めてXS-1にマーシャル製ハロゲンランプを付けたとき、バルブの下にお椀のような覆いが付いていて不思議でした。よく見るとバルブ自体にも覆いが付いています。その時に色々悩んで考えたのもこういう図だったような記憶があります。

ハイビーム時はだいたい焦点位置近くに光源を持ってきて平行に近い光線を照射しているのでしょう。パターンに関してはレンズやら反射鏡の微妙な設計の範囲です。

ロービーム時は光源を焦点よりも少し先に移動し、光が反射鏡の先でクロスして拡散するようなセッティングになっていると思われます。さらにH4に特徴的な下側の覆いによって光源から下半分の光はカットされます。光は反射鏡の先でクロスしていますから、結果的に上に行く光がカットされることになるわけです。

いいや違う。ヨーロッパの良いレンズはカットがよいからだ!と言う人が多いと思いますが(昔は良くそう反論された・・・)、一度バルブの足を切ってバルブのみをぐるぐる回してみると"あのくっきりとしたカット"は大半がフィラメント下の覆いに支配されている事が解ります。

さらにこの図をよく見てみると、昔の"ドライブ豆知識"みたいな所に書いてあったロービームが切れたらハイビームにして、ライトの下半分を覆うと眩しくないと言う説明も怪しくなります。ハイビームの光がはっきりとクロスして出て行く設計であればその通りでしょうが、ほとんど平行か若干のクロス程度では効果が無さそうに思えてきます。


ここには純正バルブの焦点検討図画が有ります。

GX250のフィラメント位置から、このライトの焦点関係の考え方を想像してみました。

ハイビーム時はH4と同様に焦点近くに光源を持ってきていると思われます。細かいパターンに関してもH4と同じくレンズや反射鏡が設計されていると思われます。

対してロービームには覆いがありませんし極端に前に出ている訳でもありません。ここでは光源を上方に持ち上げることにより、放出される光軸を若干下に向けている感じです。

H4のタイプよりもロービームの光線が中央に集まり気味で、しかし上方がカットされていない光が出ていると思われます。

H4の場合、ロービームの光束のうち半分は覆いで失われています。どんなに明るいバルブを付けてもこの部分は何とも納得できない部分です。

それに対して光軸を下向きにするだけのタイプでは全ての光束が外に照射されます。迷惑照射も出てきますから一概には言えませんが、H4より路面が明るくなる可能性があるはずです。またH4では覆いが吸収していた熱量も無くなりますからバルブの温度も下がるのでは無いでしょうか。


ここにはIHO1バルブのパッケージ画像があります。

ここまで考えてホームセンターにバルブを買いに行きました。バイク用も10種類以上有りましたが当然ながらGX250用はおいてありません。また安価で種類も豊富なH4も使えません。色々見ていると車用で2種類のバルブが目にとまりました。

一つはマツダの一部車種用。もう一つは日産の一部車種用となっています。どちらもフィラメント位置を上下に変えることによってハイ・ローの光軸を作っているようです。マツダの方はフランジの形状が合わないような気がしました。そこで残った日産の一部車種と書かれた方を買いました。

IHO1(又はIH01)と書かれています。3番目の文字が「オー」なのか「ゼロ」なのか解りません。12Vの60/55Wで1,550円でした。


ここにはIHO1バルブの見取り図があります。

新しいバルブの寸法をスケッチしてみます。フランジ部分はH4よりも一回り小さいです。コネクタはGX250純正もH4もこのバルブも同じです。

純正品との大きな違いはフランジからフィラメントまでの位置とロービームがセンターライン上に来ていることくらいです。何とかなるでしょう。


ここにはIHO1バルブをそのまま装着した画像があります。

フランジ外側の爪の外周寸法がGX250のフランジと同じでした。試しに入れてみるとすっぽり入ります。この状態で押さえのねじ止めキャップもきっちりとはまります。

試しに点灯してみるとハイ・ロー共に焦点が合っていませんがそれなりに切り替わります。切れたままよりは1000倍ましです。非常用には十分使えます。

注意しないといけないのはバルブの向きです。この写真の向きに装着するとハイビームの上にロービームのフィラメントが来るようになり、焦点がぼけているとは言えスイッチどおりに配光が変化します。


ここには組立前のバルブ画像があります。

そのままでもある程度は使えますが、実用的に使うには焦点の調整が必要と判断して改造をする事にしました。内容はフィラメントを数ミリ前に出し、全体を傾けてハイビームフィラメントをバルブセンターに持ってくることです。

古いバルブからはフランジだけを取り出します。新しいバルブはフランジの外側を切り取って古いフランジの中にはいるようにします。これでフィラメントが4.5mmくらい前に出ます。

このときに古いフランジの当たり面を少し傾けて加工し、ハイビームフィラメントがセンターになるくらいまでバルブを上向きに固定できるようにします。(フィラメント位置で2-3mmのアップ)


ここには組み立てたバルブ画像があります。

こんな感じで組上がりました。固定は半田付けを試みましたが熱容量が大きくて巧く行きません。接着することにします。

マフラー修理に使った1,000度くらいまで使える耐熱パテなら安心なのですが、今更買いに行くのが面倒です。熱電対温度計で測定してみるとフランジ部分は90度弱までしか上昇していません。

ライトの裏にはビニル電線もくっついています。たぶんエポキシで大丈夫と適当な判断を下しエポキシをこねることにしました。ただ、少しだけ不安があったのでバイス台の下に溜まっていたアルミのヤスリくずを混ぜ込み、お手製のデブコンFにしました(笑)。

後で調べてみると失敗でした。手持ちの中ではスーパーXの方が耐熱性が高く120度くらいまで許容されていました。今度やることが有ればこちらを使いましょう。


ここには改造バルブを装着した画像があります。

完成状態です。この上から純正のゴムワッシャとアルミワッシャを乗せてプラスチックの止めネジで固定します。

エポキシさえ燃えなければ何とかなるでしょう。


とりあえず外に引っ張り出して光軸を合わせます。ロービームがまとまりすぎています。ハイは悪くは無いけどもう少し収束した方がよいです。焦点がロービームフィラメントに近いのでしょう。もうちょっとフィラメント前方に出した方が良さそうです。

とは言っても以前の白熱球40Wに比べると雲泥の差です。しかもロービームフィラメントに覆いの無いタイプですから前方にくっきりとした線が出ません。このくっきりした線は車だと良いのですが、バンクするバイクでは峠道をロービームで走るときにイン側が見えにくくて危ないのです。そう言う意味では覆いのないロービームフィラメントはバイクに向いているかもしれません。

まあ満足できる結果です。あとの宿題は焦点位置の微調整と、常時点灯に起因する寿命問題を解決するための昼間のみ低電圧化?そしてXS-1に付けている突入電流防止装置を移植・・・等を考えています。


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