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新機種の内部データは荒い?

eTrexやGPS76系の比較的新しい機種では、NMEA出力が少数点以下4桁になりました。NMEAではdd,mm.mmmmの形ですから、1度を1850mとすれば、約0.185mの分解能と考えることができます。

また、保存されるログデータの容量も増えて来ました。Gekoは10,000点有りますし、Legendなどは途中からファームの変更で10,000点に増加しました。巧い圧縮方法などを考えついたのでしょうか?

そんなとき、「旧機種の方がデータが細かい」とのご意見を頂きました。そんなバカな・・・と思いながら実験したのが以下のデータです。

ここには定点観測のプロットデータが有ります。

機材はカシミールとLegend-Jを使いました。水色の線はNMEAデータを生でプロットした軌跡です。赤の線はLegend-Jの内部に2秒おきにトラックログを保存し、後でカシミールへ転送した軌跡です。(見やすいように同じタイミングで採ったデータに入れ替えました)


全く分解能が違うことに驚かされます。水色の線はNMEAの最小桁どおり0.185mの分解能を持っているようです。数値を見てみると実際に0.0001分ごとのデータが得られています。

赤の線は見るからにカクカクしています。カシミールのスケールで測定すると、南北方向は2.5m弱の分解能しか有りません。数値を見てみると0.08秒おきのデータしか得られていません。0.08秒は2.47mなのでスケールによる測定値とピッタリ合っています。

と言うことは、新機種になってNMEAの分解能は増えたし実際の分解能も0.185mくらい有るけど、いったんトラックデータにしてしまうと2.47mの分解能になってしまうと言うことです。これは生データから13倍も悪化する事を意味します。

GPS2+などはNMEA出力が0.001分おきなので生の分解能は1.85mです。それに対してトラックの分解能は過去の測定から南北で0.5mくらい有ることが解っています。

まだ標本数が少ないのですが、新機種は生のデータでは旧機種に勝っているけど、トラックログの分解能では負けている可能性が出てきました。ファームの更新によるトラックログ増加の実体は、一般的な使用では気が付かないレベルまで分解能を下げて点数を増加した、ファインチューニングだったのかもしれません。

単独測位GPSの精度とのバランスを考えると、1m以下の分解能を論じることはあまり意味が無いのも事実です。しかし短期間に限ったり、独自の処理系を追加することでギリギリの性能を利用している方もおられます。そう言う分野に取っては、新機種のトラックログ分解能の低下は少し困った問題かもしれません。


当然のことですが、精度と分解能は違います。また、定点観測とゆっくりと移動しながらでは、データの出方が違う受信機も有ります。この辺りは別途実験してみたいと思います。


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