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似非アスリートの玄海100キロ(完走偏)

--------スタート前--------

いよいよ私にとっての初ウルトラマラソン「玄海100km」がやってきました。 博多山笠にならったのでしょうか、スタート時刻は04:59との事。主催者の洒落っ気を感じます。

この時刻のスタートは県外組のみです。県内組は5分後の05:04に出発との事でした。タイツや長袖も用意しましたがそれほど寒くも無いのでランパンとTシャツにしました。

ザックにはポカリスウェットの1L用を1.5Lの水で溶かした物と、補給用のパワーバー類が4本入っています。そのほかはティッシュ、替えの靴下、タオル、ワセリン、バンドエイドなどです。GPSはGeko201を左胸の前に付けました。肩の上の方が受信状況は良いのですが、目立たないのでPRになりません(笑)。

スタート直前です。九州の9月下旬なので5時はまだ真っ暗です。

前方の81番は同じ広島から参加の箱島さん。彼とは自宅も近所なのでびっくりしました。後から解ったことですが、私の知り合いと同じ会社にお勤めでした。世間は狭い・・・

走力に不安が有ったりゆっくり楽しみたいランナーの一部は、既に03:00にスタートして走っているそうです。

--------0km--------

私は最後尾からゆっくりとスタートしました。キロ7分くらいのつもりでしたが、200mくらい走るうちに10番手くらいに落ち着きました。その後1.7km地点の大和町交差点で先頭グループが停止しています。ここは直進して福間駅の裏に出ないといけないのですが、周りは真っ暗だしちょっと不安な小道なので迷っているようです。

私は地図の段階でこの部分は理解していたのと、元地元民の強みで迷わず直進しました。皆さんはその後をゾロゾロ付いてきます。日本の将来にとって、そんな主体性の無い行動で良いのだろうかと思いますが(笑)、この組はみんな県外ランナーなのだから仕方が無いのです。

運営上は道に詳しい県内組を先に出して、県外組は2分後くらいのウェーブスタートが良いなと思います。

その後は西郷川沿いの小道を走りますが、この時期の5時台は真っ暗で明かりもほとんど有りません。先頭に立ってしまったので道を間違える訳にはいかず、何回もGPSで確認しながら走ります。

今回は油断して懐中電灯を持ってきませんでしたが、安全のために持参した方が良いと思いました。この辺りは左の写真程度しか見えない小道(あぜ道に近い)です。

その後5km地点の内殿まで川沿いの小道を走り、橋を渡って県道30号に出ます。これからは勝手知った見坂峠です。この辺りでは72番のランナーと話しながら二人で先頭を引いている状態でした。坂道が始まってしばらくすると後ろから早いピッチの足音が聞こえてきました。

一気に抜き去っていったのは自己PRに8時間台を目指すと書かれていた、5分後にスタートした57番の地元ランナーでした。ランパンにランシャツのみでいかにも早そう。72番のランナーはすぐに反応して付いていきましたが、私はイーブンペースを目標として、例の鼻だけ呼吸を続けていたのでそのペースを守りました。

少し明るくなったので、予定通りこの辺りで補給食を食べることにします。チョコレート味のパーフェクトプラスを1本。丁度200kcalです。すこしお腹が減ってきたので美味しく食べることが出来ました。

見坂峠の頂上付近で夜が明けてきました。写真を撮っていると50mくらい後ろに一人ランナーが見えました。

--------10km--------

見坂峠の下りに入り、しばらく走ると猫型のバス停がありました。筑豊のバス停は全てこうなっているのです。

すいません、嘘です。

どういう理由でこのバス停だけが猫型で無ければならなかったのか非常に興味が有ります??

猫型バス停のすぐ先に初めての移動エイドが有りました。この大会では固定エイドは5個しか有りませんが、車で移動しながらサービスしてくれる移動エイドが有ります。タイミングさえ合えば10kmから5kmおきにサポートが受けられる仕組みです。

しかしエイドの移動タイミングと自分の通過タイミングが合わなければ補給はありません。ミーティングでも速い選手は対応出来ないだろうとの事でした。ここでは撮影だけで補給しませんでした。

11.4km地点です。直進すると若宮インターや福丸の町に出ます。コースはここを右折して脇田温泉へ進みます。地形的には見坂峠の谷から犬鳴峠の谷へ横断する道です。これから先の8km区間は標高100mから150mの間で適度にアップダウンが有る気分の良い道でした。この時点で3位。先を行く57番と72番は全く見えません。ここで何とかバーという補給食を食べます。砂糖っぽくって相当甘いです。250kcalくらい?

脇田温泉の直前、スコーレ若宮前の移動エイドです。ここも撮影だけ。

このすぐ先の脇田には地元のエイドが有りました。巨峰の産地なので冷えた巨峰と飲物が有ります。飲物は足りていたので巨峰を貰いました。美味しいです。最近はピオーネに押され気味ですが、私は巨峰の方が好きなのでラッキーでした。

その後しばらく温泉街の中の旧道を通ります。旧道は狭い石畳の道に変身していました。昔はここを国鉄バスやトラックが通っていた事を思い出します。

昔も今も犬鳴峠は福岡と筑豊を結ぶ交通の要所です。しかしなぜか、全国的には有名な心霊スポットらしいです。地元民は昔と同じように生活しているのにTVとは本当に面白い物だと思います。

--------20km--------

温泉街を抜けると、旧道と新道の間に出来た「俳句の道」を通ります。句碑の間からこれから通る間夫峠が見えてきました。

俳句の道から観音滝のあたりまでは人家が点在しています。早朝というのに家族総出で応援してくれる家も有ります。手を振りながら大きな声で「おはよう御座います!」と叫びながら走り抜けました。

犬鳴の旧道から間夫峠へ左折する所です。このま真っ直ぐ進むと犬鳴峠を経由して福岡に出てしまいますから大変です。

解りにくいので早朝なのにボランティアのスタッフが立ってくれてました。ありがとう。

間夫峠の最初の1/3くらいは未舗装です。ペースが上がりすぎないように、先日会得した鼻だけ呼吸で走ります。これが維持できていれば平地でキロ6分のペースと同じと言うことです。心拍計不要の特許走法です(笑)。

区画整理の入った近代的な棚田の向こうに、これから通る間夫峠の道が見えます。

鼻だけ呼吸を維持していたら、先行していた72番が落ちてきました。57番はずーーと先を走っているとの事。この時点で2位に上がったことになります。

直ぐに35番の選手が追いついてきました。名簿を見た時に気になっていたサブテンを狙うと宣言していた女性ランナーです。

実は、速そうな人の名前は事前にネットで検索しています。彼女は東京国際や大阪国際で安定してサブスリーを達成しているエリートランナーです。流石に力強い走りです。力が違うのは解っているので付いていきません。これで3位に落ちました。

間夫峠を鼻だけ呼吸法で走り終えて縁山地区に入ると移動エイドが有りました。まだ十分に水や食料は有りますから写真だけ撮ってそのまま通過しました。35番は止まったので私が再び2位に浮上したことになります。これから宮田の街中まで、延々と下りが続きます。

--------30km--------

つづら折れの道で何回か後ろを見ましたが、35番との差はどんどん開いていました。彼女は下りは得意では無いみたいです。57番の姿は全く見えません。8時間台を目指す人は速いです。

力丸ダムの始まり、三瀬橋が見えてきました。

力丸スケート場跡です。夏は千人プールや上流のアユ釣り、冬はスケートやワカサギ釣り・・とよく遊びに来たダムでした。今は全ての施設が閉鎖されて見る影も有りません。

暴走族の落書きすら何年も前の物です。すこし寂しい気分になってしまいました。

ダムを過ぎると千石峡の横を通り、この写真の先のT字路で県道30号にぶつかります。この先は宮田、若宮地区と飯塚を結ぶ交通量の多い道路ですが、道幅は狭く歩道も整備されていません。

そのためでしょう。この写真の矢印の通りに左折して、山の神下地区を通る脇道が設定されていました。安全で走りやすい良い道だと思います。

30号を避ける脇道で3時スタート組のランナーに合いました。横田さんと田中さんです。この二人は前日も走っています。しかも田中さんは15日に米子を出発してスタート地点の津屋崎まで走って来た恐ろしい人です!!

--------40km--------

道が複雑に絡み合った脇野の橋で県道30号と合流します。すぐ先の右手にコンビニが有り、ここで食料と水の補給をしました。食料は食べにくいけどそれしか無かったのでカロリーメイトを1箱、水はポカリスウェットの1LをGOLITEのザックに注ぎ込みます。その間に35番と82番のランナーに抜かれて300mくらい先行されてしまいました。競争する気は無いのだけど何故か気持ちが焦ります。

そのまま宮田の中心部に向かいますが、役場やバスセンターまで行かずにコースは太蔵橋で左折します。

太蔵橋を抜けると県道21号の手前で、家の裏のマニアックな道路を通るように矢印がありました。この道は所田の送水管の横に出ました。その後は羅漢橋から新笠松方向へ右折します。

羅漢橋の分岐から200mくらい先に移動エイドが有り、82番のランナーに追いつきました。でも彼はすぐに出て行ったので私がお茶を飲んでいる間に元通りの差が開いてしまいました。

このころから固形の補給食が咽を通りにくくなり、飲物もお茶が美味しいと感じるようになりました。

満之浦小学校跡地です。マラソンには関係ないけど懐かしいので撮ってみました。跡地の利用もされず門柱だけがポツンと建っていました。

この辺りは倉久川に沿って県道87号線を北上します。35番と82番のランナーは400mくらい前を走っています。相変わらずトップの57番は見えません。

新幹線のガードの少し手前で、3時スタート組の21番盲人ランナーを追い越しました。私の足音が前方で急に止まったのと撮影の雰囲気で、すこし不安な気持ちにさせてしまったかもしれません。すいませんでした。

私にも日々のジョギングの伴走なら出来るかもしれません。帰ったら伴走について調べてみようと思いました。

この先を道なりに右前方へ行くと倉久を過ぎて海老津方面へ抜ける道になります。コースは交差点を左折します。700mほどで50kmの固定エイドです。

ちなみに前方の山は権現山。低い割に360度の展望で見晴らしが良く、実家に帰省したときは暇があったら走って登ります。そう、私の実家はこの直ぐ近くなのです。

--------50km--------

50kmのエイドは大きくて素麺なども有りましたが食欲が出ません。無理に食べて吐いても良くないのでお茶だけを3杯くらい頂いて出発しました。先頭の57番は全く見えません。私は食事をしなかったので35番や82番よりも先に出発しました。でも赤木峠の登りで後ろから来た82番に追い越されてしまいました。

赤木峠の下りです。この辺りは春の桜が綺麗な場所です。

峠を下ると冨地原の長い直線が始まります。400mくらい先に57番が初めて確認できました。200mくらい先に82番が居ます。たぶん私の後ろは35番が付いている事でしょう。

3号線バイパスの信号を渡ると町並みもコースも少しゴチャゴチャして来ます。まず直方からの県道を左折し、写真の郵便局の先で再度左折、橋を渡って川沿いの遊歩道へ右折という、ちょっと解りにくいコースです。

川沿いの遊歩道に入ると左前方にゆめタウンが見えて来ました。この道は毎日のジョギングにピッタリの道です。

川沿いの公園にエイドが有りました。私が到着したタイミングで57番が出ていくのが見えます。前半に比べるとずいぶん差が縮まりました。

トイレに行って梨を食べたりおばちゃん達と話をしていると、82番が出発しました。それでも話をしていると後から来た35番も出発してしまいました。4位だ。順位は気にしないけど、ちょっと休みすぎなのでそろそろ出発することにします。

ゆめタウンの裏を通って鹿児島本線を越える陸橋へ右折します。ここで陸橋の上に並んだ車が動きだしました。ヤバイ!この先の旧3号線を横断する信号は長いのです。慌ててダッシュ。陸橋の下りで35番を追い越し、そのまま全力で走り続けるとギリギリで私だけ信号を渡ることが出来ました。

--------60km--------

信号を渡るとサンリブを中心としたショッピングセンターです。こんなにショッピングセンターばかり作ってどうするんだろう・・・と思いながら場違いなランナーは日曜日のショッピングセンターの歩道を走り抜けます。

サンリブのゾーンが終わった後は道なりに左カーブした後に地蔵峠へ右折する交差点が有ります。先の右折に備えて私は道路の右側の歩道を走ります。交差点まで来ると左側の歩道で82番が信号待ちをしていました。ヘヘヘ。。。

そのまま右側歩道を曲がって自動的に2位になった。と、その時。前方に57番のランナーが合流してきました。どうも57番は道を間違えて引き返して来たようです。今まで300mくらい有った先頭との差が一気に30mくらいになってしまいました。

意外な展開に驚きながら走り続けると57番との差がどんどん縮まります。特に飛ばしている気はないのにそのまま追い越してしまいました。57番はミスコースで意気消沈してしまったのでしょう。ナビゲーションと精神面は重要です。これで自動的に1位!。ただ、すぐ後ろには57番、82番、35番が居るわけだからこの順位が長く続くはずは無いでしょう。

この辺りから風が強くなってきました、台風の影響でしょう。帽子が飛びそうになるので手に持って走ることにします。おまけに峠が始まりました「地蔵峠」です。阿蘇望で苦しめられた峠も「地蔵峠」。嫌な名前ですね(笑)。

この登りでは勾配と向かい風のダブルパンチで対地速度が半分くらいしか出ていない感じです。風で何かが飛ばされる音がすると、後ろから選手が迫ってきたと思えて何度もビクビクしながら走っていました。

地蔵峠の下りに入ると移動エイドが有りました。ここで見野さんから1位だよと言われて少し先頭の実感が沸いてきます。

お茶を飲み、膝が怠くなっていたので水を掛けてマッサージしました。すぐに来ると思った後続のランナーは全く来ません。みんな同じように進まなかったのだと思うと少し安心しました。

コースは写真の分岐を左に折れて高倉神社方面に進みます。

この辺りは高倉神社横の小道です。神社の裏、民家の裏、と言った雰囲気の道です。ホントにこれで良いの?と思うような細い道もありました。

かなり海岸に近くなった小学校横のエイドです。ここでもお茶を飲んで梨を沢山食べました。固形物は食べたくないけど果物ならOKです。

ちょっとゆっくりしていると82番のランナーがやって来ました。おお、休みすぎたかもしれない。と言うことで海岸線の道に向けて出発。

現時点でタイム的には彼が1位でしょう。

--------70km--------

川の横の道を河口に向かって進みます。なんか見覚えの有る道だなと思っていたら、小さい頃にオヤジとウナギ釣りに来ていた場所でした。この日も魚釣りの人が数名いました。

海岸まで出るとサイクリングロードが始まりました。久しぶりに見る玄界灘は台風の影響もあって凄い波です。今日は風があまりに強いのでサーファーすら居ません。

横風が強すぎて体と顔が自然に斜めになってしまいます。1週間ほど前に読んだ「人生ランナーの条件」を思い出します。まるで君原選手だなと思いながら走りました。

右手に玄界灘、左手は防風林の景色が続きます。天気の良い「無風」の時に自転車で走ると最高の道でしょう。今日くらい風が強いと、自転車は走ることすら困難です。

右からの風と、風が運んでくる砂が痛くてたまりません。

しばらく走ると波津の町が見えて来ました。ここでは少し悩んでしまいました。海岸線の道から防風林を抜けて車道に出る必要が有るのですが、このポイントが地図とすこし違っていました。予定の位置に看板が無いので少し行き過ぎた小道に入ってみると、途中から看板が出てきて安心しました。私はGPSで概略の位置を把握していたので良かったですが、県外の他の選手はすこし判断に苦しんだかもしれません。

その先は2回右折して成田山への道を進みます。これが最後の峠です。

少し登ると移動エイドが有りました。先のことを考えてここで背中のバックにスポーツドリンクを1.5Lほど補給して貰いました。ここでも梨を数切れ食べ、バイクで巡回している見野さんから写真を撮ってもらいました。

一旦止まると動き出すのが辛くなっています。でも後少しなのでがんばろうと思いスタートします。この成田山の登りはきつかった。カシミールのデータ的にも急勾配が延々と続くのですが、現実のスピードも出ません。歩くのに近い速度でとにかく一歩一歩前進しました。ただし心拍数を上げすぎると体への負荷が過大になりすぎるので、時々鼻だけ呼吸をして心拍数を低く保つ努力をしました。

鬱蒼と茂ったつづら折れの道を走り続けているといつの間にか下り坂になっていました。景色は変わらないのに勾配だけが変化して変な感じです。そのまま走ると海が見えてきました。伊豆の踊子のロケでもしたら良さそうな景色が眼下に拡がります。でも踊り子もいないし後続ランナーの姿も見えません。私だけの一人旅になってしまいました。

--------80km--------

海岸線まで降りると有名な木造五階屋が有ります。でもひどく荒れています、無人のようです。

そう言えばこの道も族や走り屋には有名な道でした。でもそれらしい車やバイクには1台も会いません。宗像の一部は賑やかになったけど、そのほかの場所は30年前より寂れてしまって寂しい気がします。

波津から鐘崎への海岸線は横風で苦労しました。海沿いの歩道を走ると風で歩道から落ちそうになるので、道路左側の崖ギリギリを走ることにしました。

鐘崎の町の前には国民宿舎が有ります。この辺りの景色は昔と変わりません。国民宿舎の先で車道は左に大きくカーブしますが、コースは鐘崎の街へ入るために右の小道を降りて行きます。

鐘崎は海女の発祥の地としても知られている漁村です。最後の固定エイドは町の終わりに有りました。世間話をしていたおばちゃんが慌てて素麺を用意してくれるけど、咽を通りそうに無いので梨を5,6切れとお茶をもらいました。

距離はそうでもないのに成田山から此処まででずいぶん背中のドリンクを飲みました。給水システムを用意して本当に良かったと思います。サポートのいる35番は良いとして、それ以外の選手はきつかったと思います。

鐘崎からさつき松原を抜けて釣川まで来ました。写真に見える河口の皐月橋で右折して国道495号に上がります。

この辺りまではコースが防風林の中か陸地側なので強風の影響は有りません。脚がそうとう怠くなっていて膝に水を掛けて何回かマッサージをしました。

--------90km--------

コースは神湊の中は通りません。皐月橋から国道を通って勝浦のはずれまで抜けて、山沿いを行く新道と海沿いを行く旧道が分岐する辺りで海へ向かって右折します。そのまま民家の間の路地を抜けて海岸にでると、スタッフが堤防の隙間から砂浜に降りる様に誘導してくれました。

もの凄い風だ!!

足を取られるような走りにくさを予想していましたが、硬くしまって走りやすい砂浜でした。しかしもの凄い強風が背中から吹き付けるので下り坂を下りるようにブレーキを掛ける感じで走らないといけません。こんな経験は初めてです。後で人に話しても信じて貰えないだろうな・・・と思いながら走りました。

後で聞いた話ですが、同じ日に海の中道で開催されていたトライアスロン大会では、自転車の速度が向かい風で8km/hまで落ちてしまったそうです。ホントにこの区間が追い風で良かったと思います。同様の向かい風ならリタイヤしたかもしれません。

壊れかけの石積み部が見えて来ました。GPSで確認するとこの位置で間違いないので海岸から上がると塩浜の集落でした。

最後の移動エイドが有りました。「1番ですよ!」と言われるけど、ここまで走れたことの方が嬉しかった。あと数十分で終わりか・・と思いながらお茶を貰って一口飲み、膝に水を掛けてマッサージして最後の走りに出て行きました。

むかしこの辺りに飛行船が来たときオヤジと見に来たな・・とか、高校時代にバイクで白浜に良く泳ぎに来たな・・・とか昔の事ばかり思い出します。体中βエンドルフィン一杯でトリップ状態だったのかもしれません(笑)。

塩田跡の直線路に出ました。すこし余力が有ります。ペースアップしてみたいけど致命的なトラブルが起こると困ったことになる・・・1ヶ月ほど前に読んだ古いマツダのルマンの本を思い出しました。最後の1時間、ミュルサンヌの直線で彼らは何を思ったのでしょう??

直線だった道が大きく左に曲がってくると、前方に津屋崎の町が見えて来ました。そのまま走ると説明通りに前方に広い煉瓦の歩道が見えて来ました。最後なので慎重にGPSで位置を再確認し、右折して海岸線の道路へ向かいます。

--------100km--------

いよいよここまで来てしまいました。小さい頃の記憶ではこの海岸線は結構長かった気がします。遠く離れたゴールに気落ちしないように気を引き締めて、最後の交差点を左折して海岸線に出ました。

すぐ近くに津屋崎のゲートが見えています。1kmも無い感じです。記憶との違いにとまどいながら走っていると、直ぐにゲートをくぐってしまいました。

ゲートを通過すると前方にGOALと書いた赤い横断幕が見えています。

もうすぐだ。

余裕は有ったけど何故かダッシュする気にはなりません。同じペースで淡々と走り、そのままゴールしました。

信じられない気持ちや嬉しい気持ちも有りましたが、ホッとした気持ちを一番強く感じました。後ろを振り返って今まで走ってきた道に一礼します。一度やってみたかったのにイマイチ決まりません。ゴール時刻は15時07分で総タイムは10時間8分でした。

見野さんや宿の女将さん、ボランティアスタッフの方が祝福してくれました。涙も出なかったしはしゃぎもしませんでした。素直に嬉しい気持ちでいっぱいでした。すこしして見野さんが5分後だねと話されました。そう、私がタイム的な1位と決まったわけでは無いのです。時間差スタートなので、5分以内に後半スタートのランナーがゴールすればそちらが1位となります。5分は短いようで長い。サブテンのペースで800mの距離に相当します。

でもその時は正直言ってどうでも良い気持ちでした。想像以上のタイムで完走できて、後半はずっと独走状態だった。その事実だけで十分に嬉しくて満足だったのです。屈伸をしていると見野さんが「あんたが1番みたいだね。7分過ぎた」といわれました。単純にそうか・・・と思いました。

--------ゴール後--------

しばらくすると35番と57番のランナーが手を繋いでゴールしてきました。

ウルトラらしくてちょっとうらやましかった。。。  

                                        

その後数名のランナーのゴールを見た後、近くの銭湯に行きました。海の家を数軒潰した後に作られた立派な銭湯です。此処でゆっくりと体をほぐします。体重を量ると52.12kgでした。機械が違うけど通常の食事前の体重と同じなので拍子抜けしました。咽が渇いたので自販機でリアルゴールドの大を飲み、お腹も空いたのでチョコミントのアイスを食べました。今日は何でも有りです(笑)。

ゴール地点まで戻るとまたお腹が空きました。食べ物が無かったので500mLのスポーツドリンクを買いました。 ドリンクを飲みながらゴール地点に居ると少しずつランナーが帰って来ます。広島から来た箱島さんもゴールしました。走歴2年弱でハーフ以上の距離を走ったことが無いというのに凄い人です。他人がゴールしたときの方がはしゃいでいる自分が変でした。

だんだんと時間が過ぎて明日の仕事が気になり始めました。懇親会に参加できないお詫びを皆さんに言って、車を止めている宮地岳神社までの2kmほどを歩き始めました。一人で歩いていると少しずつ嬉しくなって来ました。何故かキャンディーズの春一番が何度も頭に浮かんで来ます。一人でニヤッとしたりして歩き続けました。

終わり。


GPS等のデータは、後日追加します。


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